膝関節の機能解剖①
膝関節といえば、変形性膝関節症やACL(前十字靭帯)損傷など、よく臨床上で触れる関節です。股関節と足関節の中間関節でもあり、膝関節の安定性は非常に重要です。
今回は基本的な機能解剖について紹介していきます。
膝関節の構造
[フリーメディカルイラスト図鑑の画像を使用]
膝関節は大腿骨-脛骨からなる大腿脛骨関節と大腿骨-膝蓋骨からなる膝蓋大腿関節で構成されています。また、脛骨の外側には腓骨が寄り添うように存在します。骨と筋だけでは、安定しないため、靭帯によって前後左右に安定させています。
脛骨関節面は内側が凹面、外側が凸面をしています。構造上から内側面の方が荷重安定性が高くなっています。
大腿脛骨関節には軟骨や半月板がありクッションの役割をしています。
関節部分は関節包(外側が線維膜、内側が滑膜)に包まれており、滑膜からは潤滑油の役割を持つ滑液が分泌され、関節腔を満たしています。
蝶番関節に近い機能を持ちますが、構造上は顆状関節に分類されます。
膝関節の可動方向
・屈曲:参考可動域130°
(正座には約140〜150°必要)
・伸展:参考可動域0°
・下腿内旋:約10°
・下腿外旋:約20°
※内旋、外旋に関しては「関節可動域表示ならびに測定法」に記載されていないので、↓研究結果より引用。
死体膝では、膝関節屈曲120°で下腿内旋約8°、屈曲150°で約11°と報告しており、内外旋可動域には諸説ある様子。
脛骨大腿関節屈曲における下腿内旋運動の影響−変形性膝関節症との関連−
膝関節屈伸時には、転がりと滑りが生じます。屈曲0°〜20°付近は、主に転がりのみ。深屈曲時は滑りのみとなります。
半月板
半月板は大腿脛骨関節の間に存在し、関節に加わる体重の分散と関節の安定化に働きます。
内側半月板はC字型、外側半月板はO字型をしています。内側半月板は内側側副靱帯(後斜靭帯と内側関節包靭帯)と連結しているため、外側半月板と比較すると可動性は小さく、また内側半月板の方が関節面は大きくなっています。
半月板に対する血流は、外側1/3にはありますが、それ以外はありません。その為、自然治癒は乏しくなっています。
膝関節周囲の筋
【膝関節伸展に働く】
・大腿四頭筋 ・大腿筋膜張筋
【膝関節屈曲に働く】
・大腿二頭筋 ・半腱様筋 ・半膜様筋 ・縫工筋
・薄筋 ・膝窩筋 ・腓腹筋 ・足底筋
【下腿の内旋に働く】
・内側広筋 ・膝窩筋 ・縫工筋
・薄筋 ・半腱様筋 ・半膜様筋
【下腿の外旋に働く】
・外側広筋 ・大腿筋膜張筋 ・大腿二頭筋
膝関節周囲の靭帯と支持機構
・膝蓋靭帯
・前十字靭帯
・後十字靭帯
・内側支持機構
(半月後角、半膜様筋腱、内側側副靱帯:広義には後斜靭帯、内側関節包靭帯を含む)
・外側支持機構
(腸脛靭帯、大腿二頭筋腱、膝蓋支帯、膝蓋大腿靭帯、外側側副靱帯)
・後外側支持機構
(外側側副靱帯、膝窩筋腱、膝窩腓骨靭帯)
参考文献
2.脛骨大腿関節屈曲における下腿内旋運動の影響−変形性膝関節症との関連−
3.膝関節の運動
6.膝関節と運動療法
次回の膝関節に関する記事は、変形性膝関節症の内容を入れながらかけたらと思います。
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