筋肉紹介〜大臀筋〜
今回は筋肉についてご紹介します。
この記事では大臀筋について触れていきますが、リハビリを目指す学生時代には習わない事もあるので、少しでも知識のお役に立てたらと思います。
記事を書くにあたって参考にした論文等は記事最後にまとめておくので、気になる方は参考にしてください!
そもそも大臀筋とは?
大臀筋は臀部表層に位置する筋肉で、単一筋としては人体で最大の体積を有する。表層かつ体積も大きい筋肉であるため、大臀筋の筋ボリュームによって外見的な見栄えにも影響してきます。また、大腿四頭筋と並んで、鍛える事で基礎代謝も大きく向上します。
[フリーメディカルイラスト図鑑の画像を使用]
大臀筋の医学的情報
【支配神経】
下臀神経(L4-S2)
【起始】
浅部:腸骨稜、上後腸骨棘、仙骨、尾骨
深部:腸骨翼の殿筋面、仙結節靭帯
【停止】
上部:大腿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移行
下部:大腿骨の殿筋粗面
【作用】
股関節伸展、外旋
上部:外転、内旋(股関節90°屈曲位)
下部:内転
学生レベルでは股関節伸展・外旋の作用のみで知識としては十分ですが、臨床では、プラスして上部・下部繊維の走行の違いから外転・内転作用がある事も重要です。また、股関節90°屈曲位では上部繊維は内旋作用となります。その為、股関節90°屈曲位での股関節外旋制限は上部繊維の影響も考慮する必要があります。
股関節伸展作用は股関節伸展0°〜10or15°で筋出力が増大します。
【筋繊維比率】
遅筋47.6
速筋52.4
【筋連結】
起始部:広背筋、最長筋、多裂筋、対側大臀筋、同側中臀筋
停止部:大腿筋膜張筋、大腿二頭筋、外側広筋、小内転筋、大内転筋
歩行時の筋活動
[基本的動作における大臀筋上部繊維と下部繊維の筋活動についてより引用]
大臀筋上部繊維は主に立脚初期〜中期での筋活動が大きく、中臀筋と同様に股関節の外転作用にて骨盤の安定化にも働きます。立脚中期の踵離地にかけて筋活動は徐々に漸減していきます。
大臀筋下部繊維は立脚初期直前から筋活動が開始し、足底接地までに筋活動が最大となります。大臀筋下部繊維は、立脚初期の骨盤前傾に伴う股関節の屈曲を制動するために関与しますが、純粋な股関節伸展への関与は少ないです。
大臀筋収縮不全による異常歩行
【大臀筋歩行】
体幹を後傾させ、床反力作用線を股関節より後方に通す事で、大臀筋の筋力を使用せずに歩行します。
【立脚初期以降の体幹前傾と股関節屈曲】
立脚初期以降の慣性力による体幹前傾と股関節屈曲モーメントを制動できずに、体幹前傾と股関節屈曲方向に崩れていきます。
大臀筋による仙腸関節の安定化
緑丸の部分が仙腸関節になります。大臀筋は筋の走行から、骨盤に対して水平方向へのベクトルも有しています。仙骨に対して腸骨を押し付けるような力が働くため、仙腸関節の安定化ににつながります。
大臀筋の収縮不全により仙腸関節の安定性が低下し、立脚期中継続した腸骨の後傾負荷が生じ、仙骨との適合不全が生じます。収縮不全が生じている側はハムストリングスの活動が著明に亢進しています。また、腸骨の後傾負荷に対抗するため、同側の脊柱起立筋の緊張を高めてる場合もあり、その場合は脊柱起立筋に圧痛所見が見られる事もあります。
参考文献
1.基本動作における大臀筋上部繊維と下部繊維の筋活動について
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